竜山寺のご案內

艋舺竜山寺はご本尊さまとして、聖観世音菩薩(観音さま)をお祀りしております。また、天上聖母(航海の守護女神、福徳招來媽祖)、文昌帝君(日本の天神さま、受験の神様)、関聖帝君(三国志で有名な武将、関羽、財運招來。悪霊退散。勝負必勝、商人の神様)等の諸神も併せお祀り致して居ります。ご本尊の観音さまの霊験は大変にあらたかで、遠く各地にも数多くの信者がおり、毎日、早朝から夜遅くまで大勢の参詣客がひきもきらずに訪れ、賑わっております。

この寺は、清時代の乾隆3年(1738年)に着工し、同5年(1740年)落成したもので270余年の歴史があります。その間に数度の大改修がなされましたが、なかでも民国8年(1919年)の大改修工事は、中国宮殿式廟宇建築を採用し、民国13年(1924年)には色鮮やかな、壮麗かつ荘厳、芸術性の高い東洋一を誇る名刹が完成しました。

第2次世界大戦終戦直前の民国34年(1945年)に米軍の空襲で本殿が焼夷弾の直撃を受け、石柱までもが全壊するひどい惨状であリましたが、このような状況のなかで、木像の本尊、観音菩薩像だけは、無傷のまま端然と蓮座に端座されご安泰でした。

当時、空襲があると付近の住民は観音さまの膝下は絶対安全だと信じ、多数の人々が避難してきましたが、激しい空襲のなか、不思議なことに、避難者には全く死傷者がなく、そのあらたかな霊験は、今日でも人々の間で語り伝えられ、ご加護を讃えております。

現在の伽藍は、民国42年(1953年)再建修復されたもので、反り返った屋根の上から今にも飛び立つのではないかと思わせる鮮やかな瑠璃色の瓦の竜や鳳凰は、以前にも増して豪華絢爛となり、中国の伽藍建築を代表するものであります。

竜山寺は、北側を背に南に面し、前殿、本殿、後殿(奥の院)とその左右に鐘楼、鼓楼を配し、廂房(渡り廊下)で「日」の字形に構成されております。
前殿の前にある一対の鋳銅製の蟠竜柱は台湾唯一のものであります。また、牆垣はすべて花崗岩と青斗石の組み合わせで彫刻されたもので、絵柄は精巧優美な作品であります。

本殿には、石柱の回廊が配されておりますが、特に正面にある6本の竜の彫刻石柱は、なんとも精緻なくりぬき2重構造となっております。本殿の天井は円形藻井(井げたのように天井を張りいろいろな美しい模様を描いたもの)であり、精細流麗な作品で、国宝に指定されております。

当竜山寺は、国の指定する古蹟でもありまた、国の内外に知られた信仰の中心であると共に、国際的観光面でも見逃すことのできない重要ポイントでもあります。